申告と納付 10ヶ月以内に被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署長に提出。納付期限は申告期限と同じ。 延納:金銭一括納付が困難で、納付額が10万円超えの場合 ・期間:原則最高5年、不動産割合が75%以上であれば延納期間は20年 ・担保:原則必要。延納税額100万円以下かつ延納期間3年以下であれば担保不要。 ・利子税あり 物納:金銭一括納付や延納が困難な場合 ・物納適格財産:相続税の課税価格に算入された財産 ① 国債、地方債、不動産、船舶 ② 社債、株式、証券投資信託または貸付信託の受益証券 ③ 動産 ・収納価額:相続税評価額 ・物納の撤回も可能 財産評価 相続・遺贈または贈与にとり取得した時の時価による。 金融資産等の評価 ・預貯金:普通預金は預入残高、定期預金=預入残高+既経過利子-源泉徴収税額 ・ゴルフ会員権:取引価額×70% ・生命保険:解約返戻金相当額 ・上場株式、ETF、J-REIT ・上場されている利付債:最終価格+既経過利子-源泉徴収税額 ・個人向け国債・非上場の証券投資信託:中途換金した場合に支払われる価額 宅地の評価 ・評価単位:一区画の宅地ごとに実際の地目、面積による ・評価方法:路線価方式と倍率方式 路線価×奥行価格補正率×地積 *角地は側方路線影響加算率を加味 2つの路線価の内、奥行価格補正率を乗じた後の路線価の高い方を正面路線価といい、もう一方を側方路線価という *裏面も道路に面している(二方路線影響加算率) *不整形な宅地:間口狭小、奥行きが長大:奥行長大、崖地:崖地、不整形:不整形地 倍率方式:路線価が定められていない地域は固定資産税評価額×各国税局長が定めた倍率で算定 宅地の上に存する権利の評価 自用地:自宅敷地や更地、青空駐車場、自己事業所の敷地、使用貸借の敷地=自用地評価額 普通借地権:建物所有を目的として土地を借りている人の借地権:自用地評価額×借地権割合 貸宅地:借地権が設定されている宅地:自用地評価額×(1-借地権割合) 貸家建付地:賃貸アパートの敷地:自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合) 貸家建付借地権:借地人と同一名義の貸家が建てられている場合の借地権=自用地価額×借地権割合×(1-借家権割合×賃貸割合) 私道の評価 特定の者の通行に供される:自用地評価額×30% 不特定多数の通行に供される:評価しない(ゼロ) 建物の評価 ・自用家屋:固定資産税評価額 ・建設中の家屋:費用減価×70% ・貸家:固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合) 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 相続または遺贈により親族が取得した宅地等で被相続人の居住用または事業用に供されていた宅地等は、一定の面積まで80%または50%の評価減が認められる。 *贈与により取得した宅地等は適用外 更地(青空駐車場を含む)は適用外 ・限度面積、減額割合 特定居住用宅地等は330㎡まで80% 特定事業用宅地等は400㎡まで80% 貸付事業用宅地等は200㎡まで50% ・特定居住用宅地の要件:配偶者には要件無し ・特定事業用宅地の要件:取得した親族が被相続人の事業を引き継ぎ、事業を継続している ・貸付事業用宅地の要件:取得した親族が被相続人の貸付事業を引き継ぐ 適用面積の併用と調整:宅地全てが特定居住用宅地等および特定事業用等宅地等である場合は完全併用可能。 ・貸付事業用宅地等を選択する場合の調整あり 適用手続 遺産に係る基礎控除額以下となる場合でも申告が必要。分割が確定していない宅地等は対象とならない(ただし、申告期限から3年以内に遺産分割が行われた場合は更生の請求により適用可能。 非上場株式の評価 取引相場のない株式(非上場株式、自社株式)は、同族株主等が取得する株式(原則的評価方式)とそれ以外(特例的評価方式)に分類される。 ・評価方法の判定:会社規模を従業員数、総資産価額、取引金額により大・中・小会社に区分して、大会社は類似業種比準方式、中会社は併用方式、小会社は純資産価額方式、特例評価方式は配当還元方式により評価する。 ・類似業種比準方式は比準要素(配当、利益、簿価純資産)で株式の評価額を求める ・純資産価額方式は相続税評価額による純資産から法人税等相当額(含み益相当額×37%)を控除する。所有する土地や株式等の含み益が多い会社は評価額が高くなる。 ・併用方式:それぞれの評価額を一定割合(Lの割合)で加重平均する。大会社に近いほどLの割合は高くなり、類似業種比準価額のウエイトが重くなる。 ・配当還元方式:過去の配当実績を基礎とする。 特定の評価会社 同族株主等が取得する特定の評価会社(土地や株式を多く保有)の株式は会社規模にかかわらず、純資産価額方式を採用。 非上場株式の相続対策 ・株価引き下げ対策:経営者への役員退職金の支給は会社の利益の減少または純資産の減少を通じて株価を引き下げる効果が期待できる。 ① 類似業種比準価額の引き下げ ・特別配当、記念配当は1株当たり年配当金額に含まれない ・高収益部門の分離、役員退職金の支給、貸倒損失の計上 ② 純資産額の引き下げ ・時価評価より相続税評価の低い資産の購入(不動産、貸付) ・高収益部門の分離、役員退職金の支給 ③ その他 ・特定の評価会社に該当しないようにする ・会社規模を引き上げる 相続税の納税資金対策 ・生命保険の活用:契約者・保険金受取人を法人、被保険者をオーナー経営者とし、退職金の原資として活用 ・法人による自己株式の取得:相続人から会社が自己株式を買取り、相続人の納税資金を確保 非上場株式移転の際の課税関係 生前に自社株式を後継者に移転し相続財産を減少させることが有効 *後継者への譲渡には所得税、贈与には贈与税 役員報酬を増額して後継者の金融資産を増やすことも有効 非上場株式等の贈与税・相続税の納税猶予制度の活用 ・贈与に係る贈与税の全額について、贈与者の死亡の日まで納税が猶予される。その後、贈与者が死亡した場合には猶予税額が免除され相続税の対象となる ・非上場株式に係る課税価格の80%に対応する相続税について後継者の死亡の日まで納税が猶予される 会社法 種類:合名、合資、合同、株式 株式会社:取締役会を置くと3人以上の取締役、監査を置く。取締役会を置かないと取締役は1人以上で監査は任意。 金庫株:株式を発行した会社自身が取得した自己株式をいう。