金投資


・有事には株や債券とは異なる動きをする 2019年6月現在、日本での小売価格は1g5000円を超えて上昇傾向にあります。1980年1月に6495円の最高値をつけましたが、その後は下落、再び上昇、高値圏でとどまっています。リーマンショックで一時急落しましたが、すぐに回復し、おしなべて2000年ごろから右肩上がりで推移しています。2013年2月に4910円をつけたあと下落したものの、直近では4000円台半ば~5000円の間で上げ下げしている状態でした。過去の水準からみても、高値圏にあることがわかります。それが世界的な政情不安の影響で6月に入ってからは5000円を超え上昇を続けているのです。  日本の金価格はロンドンの値決めである海外ドル建価格の動きに、為替相場の影響を受けます。基本的には、金は株式相場が下落局面で買われ、相場が好転すれば、資金が他の資産に流出する傾向にあります。また、金は有事に強いといわれ、世界情勢が不安定なときに通貨の代替資産として資金が集まり、金取引は活発化します。  堅調な金価格上昇の要因 ① 底堅い金需要:消費者需要の50%超を中国・インドが占める、両国の需要を支える根本要因は中間層の増加、2030年までに両国の中間層が加速的に増える予想がある。 ② 不確実性が高いマクロ経済・政治環境と金の投資リスクヘッジ機能:米トランプ大統領の経済・外交政策、北朝鮮・中近東・Brexitなど ③ 不確実性が高い日本のマクロ経済環境:少子高齢化、年金問題、可処分所得の低下・貯蓄率の低下、国債のテールリスク、円安の可能性、グローバル化の進行に伴う産業構造改革の必要性など  現物での取引はなく、金ETFや金に投資する投資信託、純金積立といったマネー商品を使って取引します。 ・4つの種類とメリット・デメリット ① 金地金、金貨:インゴット、バーとも呼ばれ板状になったもの。金地金を購入数する場合、販売手数料は1gあたり0.3~1%程度かかり、少量での購入では、スモールチャージという加工手数料もかかるので、手数料などのコストがかかります。金貨ではメープルリーフ金貨、カンガルー金貨、ウィーン金貨ハーモニーが有名です。大きさにもバリエーションがあり、1トロイオンス17万円、1/10トロイオンスなど。いずれも購入時の手数料、加工手数料が割高です。 ② 金ETFの銘柄選びのポイント:金上場投資信託のことで株式市場に上場され、自由に売買できる機動性があります。指値注文や成り行き注文ができ使い勝手がいいといえます。現在、国内市場に上場している金ETFは5本あり、銘柄ごとに特徴があります。ロンドンの値決めの金現物に連動するもの、国内金価格に連動するもの、金価格に連動する債券に投資するもの、金の先物価格に連動するものなどがあります。銘柄選びでは1日の出来高にも注目すべきです。出来高が多ければ、取引が活発なので売買タイミングを逃すことがありません。また、売買コストのほか信託報酬が保有中かかりますので、その点も重要になってきます。  数千~1万円前後など少額から手軽にスタートでき、信託報酬が0.5%以下と、一般投資信託に比べて低コストなのが大きな魅力です。金現物のように保管のコストや手間も不要。実際に金現物の裏付けをもつ、SPDRゴールドシェア、純金上場信託、ETFS金上場信託は1キログラムから現物と交換できる特徴があります。金価格に連動するリンク債に投資するのが金価格連動型上場信託、金の先物取引により金先物価格に連動を目指すのが国内金先物価格型上場投信もあります。リンク債に投資するETFの場合、発行体が破綻すると資産が保全されない可能性があるので注意が必要です。 ③ 金に投資する投資信託なら、毎月少額からの積立てを:本数は多くありませんが、ETFと異なり、積立投資ができるメリットがあります。金ETFを主な投資対象としており、日本の金価格の値動きに連動するか、米ドル建ての金価格に連動するかの違いがあります。また、日本の場合は為替の影響を受けるため、為替ヘッジの有無でも運用成績に違いがでてきます。年1回の決算で分配金の期待があるので、投資信託も選択肢に上がるでしょう。  三菱UFJ純金ファンド、シェアーズゴールドインデックスファンド、スタートストリートゴールドファンド、ピクテゴールドなどがあります。 ④ 純金積立ならスポット買いも併用:ドルコスト平均法により、価格変動のリスクを軽減できる効果が期待できます。価格が安いときには数量多く買付け。高い時には少なく買付けるため、結果的に購入単価が平準化されるというものです。しかし、年会費がかかる場合や買付時のコストが金ETFに比べて割高になってしますのがデメリット。価格下落時にスポット購入で平均買付単価を下げるなどの工夫が必要です。

投稿者: yosh

AFP認定者の荒井です

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